記事レビュー:英国公共交通におけるICカードの導入 by L.K.
ロンドンで用いられているビジター・オイスター・カードは日本で言うmanacaやSuikaと同じICカードである。利便性はもちろん割引率がとても高い。オフピーク時にZONE1~2の区間で地下鉄を利用した場合は切符£4.80だったが、オイスターカードを利用すれば半額以下の値段で乗車できる。
『対応が面倒な観光客への割り増し料金』の導入は、ロンドンに英語が上手でない外国人観光客や公共交通機関の利用そのものに慣れてない人が増加したことが要因と考えられる。駅員が大勢の訪英客を相手に同じやり取りを連日繰り返さなければならず、大変な手間と時間がかかるからだ。ロンドン地下鉄は徹底して人員削減を行っており、「手間賃の分を運賃に上乗せする」という。
日本では急増する外国人観光客により、多くの観光地で切符売り場やバス降車時の運賃支払いなどで混乱が起こっている。ロンドンなど欧州で行われているような「手間のかからない乗客は安く乗せ、そうでない乗客からは割増を取る」といった制度は混雑を解消するのも一つの方法と考えられる。ロンドンバスはICカード用センサーしかない乗車口があり、現金支払いでは乗れないという。乗客がICカードを活用すれば、乗降時間の短縮による定時性・速達性の確保や、人的負荷の軽減、人員配置の最適化を図ることが可能となるであろう。
ところで、4月19日付のnewsweekのニュースは、イギリスは10年以内に完全なキャッシュレス社会になると予測されると報じている。
英国では、カードや携帯などでの非接触型決済が急速に進んでいる。最もキャッシュレス化したスウェーデンでは、人口の約36%が現金を全く使っていない(英国は約17%)。多くの国々が急速に電子化する中、現金信仰が強い日本がどのように展開するのか気になるところである。
参考
2018年4月22日付けの東洋新聞『価格差2倍も、欧州の鉄道「現金乗車』なぜ高い』
https://toyokeizai.net/articles/-/217146 2018年4月22日閲覧
2018年4月19日付けのnewsweek『イギリスは10年以内に完全なキャッシュレス社会? 急速に電子化する欧州』
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/04/post-10003.php 2018年4月22日閲覧