愛知大学岩田晋典ゼミのブログ

ゼミ活動の記録/報告、資料のアーカイブ化が目的です:ゼミのホームページは別にあります。

記事レビュー:地方紙における地元イベントの報道のされ方 (by L.M.)

www.saga-s.co.jp

 

 佐賀県唐津市を舞台に放送したテレビアニメ「Yuri on ice!!!」の展示イベントについて書かれている。また記事媒体である佐賀新聞は県内シェアが43%(2013年)となっており、他の全国紙よりも高い普及率を持つ。

 この記事の副題や内容から唐津市のイベントだけの“限定グッズ”が売られているように読み取れるし、来場した女性のセリフだと唐津市のイベントの展示が毎回変わっているという風にも読み取れる。なので、この記事だけを読むと、アニメ舞台となった唐津市限定のイベント内容や商品が盛り込まれ県外から多数の来場者が来た、という印象になりがちだ。しかし、公式サイトで内容を比較してみると、現在、唐津市と同時期に行われている仙台市のイベントと全く同じであることが分かった。

 他のイベントと異なる点として、日付指定チケットを購入することで唐津市各所の優待券を手に入れることと、聖地巡礼のスタンプラリーができることが挙げられるが、主要な駅・空港からイベント開催地が離れすぎていることを考えると、観光効果はあまり期待できないであろう。台湾でもイベントを行い、また英語版のパンフレットも存在するため日中英3か国語対応ができる可能性のあるイベントだ。ホテルや航空会社と連携してツアーを行ったり、聖地となる場所のマップや情報の入ったアプリを多言語対応でリリースしたりするなど、観光客を呼ぶための唐津市の取り組みには、まだまだ改善の余地があるのではないか。なので、佐賀新聞は、記事内でこのイベントの改善点も指摘すべきだろう。

 県民向けの記事媒体であるがために、佐賀新聞の記事の内容や編集は県民(読者)にとって好ましいものになりがちだということが今回のレビューで分かった。おそらくそれは他の新聞にもいえるであろう。

 新聞記事を読むとき、それが「誰」に向けて書かれたものであるのかに注意して読む必要があると再認識させられる記事である。

 

www.yurionfes.com