愛知大学岩田晋典ゼミのブログ

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記事レビュー:民泊チェックイン端末の報道 (by H.S.)

www.asahi.com

 

 4月18日の朝日新聞に、セブンイレブンで民泊のチェックインができるという記事があった。家主不在型の民泊施設の宿泊者名簿の作成や宿泊者の本人確認、鍵の受け渡しなどを家主が行う代わりにセブンイレブンの専用端末でそれらを行うことができるようになるという内容である。

 

 この専用端末のメリットとして2点あると考えられる。1つ目は、家主が本人確認や鍵の受け渡しをするため自宅で宿泊者を待つという必要性がなくなることである。また、家主の代わりに宿泊者の本人確認を行う代行業者の負担もなくなる。

 2つ目は、コンビニエンスストアの来店客数増加が期待されることである。チェックイン手続きためにコンビニエンスストアを訪れた利用者の宿泊先で使う日用品などのついで買いが期待できる。

 

 一方、デメリットとして2点考えられる。1つ目は、コンビニエンスストアの従業員の負担が大きくなる点である。近年、コンビニエンスストアの店舗では人手不足が進んでいる。それに加えて利用者がこの専用端末の使い方などを従業員に聞くことが予想され、従業員の手間がかかることになる。

 2つ目は、違法民泊の増加が見込まれる点である。民泊業者は専用端末を使用する際に使用料を支払う必要がある。その結果、宿泊費を上げなければ民泊の運営が成り立たない。民泊の魅力は低価格で泊まれるという点である。そのため、宿泊費の低価格化を重視し、他の民泊業者との競争に勝つために使用料を支払わない無届けの民泊業者が増える。このような無届けの違法な民泊施設は管理が甘い傾向にあり、犯罪の温床になる可能性が高い。

 

 この記事はチェックイン端末の導入という事実だけを報告している。たしかにそれにより利用者だけでなく民博業者も便利になりさまざまな利点をもたらす。でも、単に便利にするだけならば、民泊の違法営業を助長しかねない。違法民泊の取り締まりが十分にできていないのが現状であり、とても大きな問題だと思うが、記事はその点をスルーしているのが物足りない。

 

参考

2018年4月18日付けの朝日新聞「セブンで民泊チェックイン 1千店で鍵渡し可能に」

https://www.asahi.com/articles/ASL4L5FKXL4LULFA01P.html

2018年5月25日閲覧