愛知大学岩田晋典ゼミのブログ

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記事レビュー:障害者雇用について考える (by M.Y.)

 

style.nikkei.com

 

 カナダの旅行代理店スタッフが、車椅子生活の著者に一緒に働かないかと声をかけた。その理由は二つ。一つは日本語を生かして日本人観光客を相手にしてほしいということ。もう一つは近年増える高齢者の観光客を対象に、足場の悪い不便なところを避けたガイドをしてほしいということだ。日本の法定雇用率を引き合いに出し、障害者の個性や才能を引き出して気持ちよく働ける環境づくりと発想が重要だと書かれている。

 

 近年日本では障害者雇用促進法や法定雇用率の引き上げにより、雇用機会は増え、職場での合理的な配慮や支援が見られるようになった。しかしこれらは法で義務付けられたものであり、障害を持つ人への根本的な理解には繋がっていないのはこの記事からも見て取れる。設備もバリアフリー化が進んでいる一方で、人と人の間にはまだ壁を感じる。ハンディキャップによるデメリットを挙げる前に、個性や才能を引き出すための柔軟な発想や対等な関係が必要だ。

 

 これは企業だけに求められるものではなく、私たちが生活の中で意識するべきことだ。障害者雇用は一つの選択肢であり、重要なのは障害を持つ人への“特別扱い”を取り除くこと。別けることでストレスを無くすことは簡単だが、仕事の幅や職種が限られる。そのため仕事内容に物足りなさを感じる場合や、生かすべき才能が無駄になる可能性が高い。企業を含め、働くすべての人の選択肢や可能性を広げるために、同じ環境でどれだけ気持ちよく過ごせるか考えるべきだ。