愛知大学岩田晋典ゼミのブログ

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記事レビュー:プロジェクションマッピングの意味(by M. A.)

 この記事は、‟FASHION PRESS”というファッションを中心としたライフスタイル全般を取り扱うメディアによって書かれたものであり、マクセルアクアパーク品川で行われる約二ヶ月(2018年4月21日~6月24日)の、ゴールデンウィーク、初夏を狙った期間限定イベントを紹介している。

 

 このイベントは、水族館とクリエイティブカンパニー「ネイキッド」とのコラボレーションで、最先端のデジタル技術を用い、海の世界を花で彩るというものである。イルカパフォーマンスでは、昼は通常のショー、夜はプロジェクションマッピングによってイルカたちの背後に花を映し出される。また、他の魚の水槽(熱帯魚やクラゲ)にもこのデジタルフラワーが使用される。

 

 記事の内容から、プロジェクションマッピングが小さな子供だけでなく、SNS(とりわけ‟Instagram”)を駆使する若者たちを水族館に惹きつける効果を狙ったものだと考えることができる。記事では、主役はイルカではなく、むしろ背景に写るプロジェクションマッピングであるかのようだ。まさに、“インスタ映え”のための記事だと言えよう。

 

 主なターゲットがインスタグラム世代の若者であることは、水族館の営業時間(10:00~22:00)にも伺うことができる。22時までオープンしていれば、メインのナイトショーを存分に楽しめる。また、“期間限定”も効果的であろう。「今行かなきゃ!」という衝動に駆られる人は少なくあるまい。

 

 このイベントについて若干気がかりな部分もある。たとえば、ショーに出演するイルカより、プロジェクションマッピングが映えてしまうかもしれないという点だ。メインのイルカよりも背景が鮮やかで、さらに動きがあれば、観客の目はそちらに向いてしまう可能性も考えられる。イルカ好きの観客の中には、遺憾に思う人も少なくないであろう。

 

 記事はイベントを魅力的に伝えているが、ショーのタイムスケジュール(ショーの回数、時間など)が不明な点は残念である。特に、デイパフォーマンスから“期間限定”のナイトパフォーマンスへの切り替わり時間などを知るためには、他のサイトを検索しなければならない。

 

 従来のイルカショーでは、観客が背景を気にかけることはあまり無かっただろう。建物だけでなくついに水族館が飼う生き物にまで、プロジェクションマッピングが使用されるようになったということに、時代の流れを感じる人もいるのではないか。

 

 今後、こうした最新技術を導入する水族館が増加していくことも予想できる。これによって水族館が、海の動物に接し、学ぶ場所という位置づけから離れてしまわないか危惧してしまうのは私だけであろうか。“映える”主役は背景ではなく、あくまでもイルカであろう。観客にはそれを念頭においてショーを楽しんでほしい。

 

参考

FASHION PRESS 『「フラワーアクアリウムバイネイキッド」水族館アクアパーク品川で開催、花が彩る海の世界を体験』(https://www.fashion-press.net/news/38961) 2018年4月23日閲覧